加速する環境規制と経営影響
近年環境に関する課題が熱を帯びている。
SDGsやESGなど持続可能な社会を目指す上で企業が目指すべき経営の中に環境に関する課題は無視できなくなっている。
特に、カーボンニュートラルと言われる、温室効果ガス(GHG)の排出量を実質ゼロにする取り組みについては菅総理が宣言したことでそのワードを耳にすることも多くなってきた。
ブログ管理人である私も先日このテーマについて「環境ビジネスオンライン」に寄稿した。
環境問題に関するテーマは今に始まったものではないが、特に最近はこの熱が強い。
企業は短期的な利益のみならず、中長期的な目線でこの課題を取り組まざる得ない状況になっている。
CFOに求められる環境対応のKPI
企業のCFOはこれまで企業財務の健全化をメインにBS, PL, CFで見える数字を取り扱ってきた。
しかし、近年財務諸表に現れてこない数字についても考えていく必要が出てきている。
社名 | 価格 |
---|---|
明電舎 | 3000円 |
帝人 | 50ユーロ |
日立製作所 | 5000円 |
マイクロソフト | 15ドル |
ゼネラル・モーターズ | 25ドル |
ダノン | 35ユーロ |
サンゴバン | 30ユーロ |
この表を御覧いただきたい。
排出するCO2に値段を設定し、独自に投資判断に組み込んでおり、左表は1トンあたりのCO2の価格を表している。
企業が独自に炭素に価格付けする取り組みを「インターナルカーボンプライシング (ICP) 」と呼び、各国の水準や国際エネルギー期間 (IEA) の炭素価格予想、同業他社を参考にCO2排出1トンあたりの価格を設定する。
この値段が高ければ高いほど、排出に厳しい姿勢をとっているということを指す。
つまり、企業価値の算定や投資判断に環境問題に対する取り組みやCO2量を織り込んでいるのだ。
短期的な利益のみならず、中長期的な目線で企業の成長と同時に環境への対応が経営層には求められる。
CFOは今後、これらの論点に対応していくため、自社において適切なKPI設定をする必要がある。
カーボンニュートラルを含む環境に関する議論はその規制や各国の取り組み、世情など複雑に絡み合い、全体像を理解することが難しく、更には先行き不透明である。
とはいえ、昨今の状況を踏まえるとこの流れに後戻りはないと言える。この議論をなおざりにしていると、この流れが急速に展開した場合、大量生産大量消費を土台にしているビジネスはその基盤から揺らぐ可能性が出てくる。企業への影響は甚大といっていい。
リスクマネジメント・企業存続の視点から十分な備えをしておく必要がある。
経営に携わる仕事をしている人は、間違いなく今後あらゆる企業で議論されるテーマであると考えられるため、引き続き情報感度高く動きをキャッチしておくべきだろう。
以上、コバログでした。
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